〈この記事について〉
自分のおうちのWi-Fiが遅くて困っている皆さま!
それは本当にWi-Fiが遅いのでしょうか?それともインターネット?
おうちのWi-Fiは、どれくらいのスピードが出ているか気になりませんか?
今回は、インターネット回線関係なしの純粋なおうちの中だけでのWi-Fi速度を測定する方法を、ご説明します。そしてインターネット回線速度との比較も行います!
結論!【iperf】という無料ソフトを使って測定できます
色々と家庭内ネットワークの環境改善について書いてますが、結局ネットワークの部分部分を切り分けてどこが悪いのかが判らなければ対処のしようがありません。
今回は、「JCOMの320Mbps」を利用している知人からネットが遅いという相談です。
インターネット回線が遅いのか?Wi-Fiに問題があるのかが判らないので、インターネット契約を見直すべきか?「Wi-Fiルーター」を買うべきか判らないとの事。
その為、HUMAXというJCOMから貸与されている機器のWi-Fiがおうちの中で、どれくらいの速度が出ているのかを知りたいとの事。
という事で、【iperf】という無料ソフトを使って、知人宅のWi-Fi通信速度を測定した内容をレポートします。
ネットの速度に困ってない方でも、興味本位でWi-Fi速度を測ってみるのも面白いと思います。
【iperf】はこんな感じで使います!
インターネット回線のスピード測定は、ブラウザで簡単にできますが、今回のおうちの中だけのWi-Fi速度を測るには、「iperf」というソフトを使います。
無料でダウンロードできて、初期設定とか無しで、すぐ使えるので簡単です。
ただし、仮に「Wi-Fiルーター」から、「部屋」のWi-Fi速度を測るには、2つの場所に「iperf」をダウンロードしたパソコンが2台必要です。
このパソコンを設置(接続)した区間のWi-Fi速度を測る事ができます。
もちろん、有線LANの速度も測る事ができます。
それでは、早速「iperf」のダウンロードから始めます!
【iperf】のダウンロード
「ipref」は以下のURLからダウンロードできます。
リンク先URLから自分の端末にあったファイルを選択してダウンロードします。
対応している端末(OS)
一般家庭では以下の4種類が主に使われる端末(OS)と思いますが、ほぼ対応しています。
・ウィンドウズ
・アンドロイド
・iPhone/iPad
・アップル(macOS)
私はパソコンでしか使った事がないので、ウィンドウズで説明致します。
私は「Windows 11」のパソコンなのですが、「iPerf」は「Windows 10」までしか対応の記載がありません。
使えるのかなぁ~と思いつつも、一番上にある日付が一番新しい「Windows 64ビット」パソコン用の「iPerf3.1.3」というファイルをダウンロードしました。
一番新しいといっても「2016年8月」の日付で、対応OSは「Windows Vista 64 ビットから Windows 10 64 ビット」と書いてあります。
◆ダウンロードしたファイル名:iPerf 3.1.3(2016年6月8日-Windows Vista64ビットからWindows10 64ビットの場合は1.3MiB)
ダウンロードすると、以下のような圧縮ファイルとなっていますので解凍してから使います。
ここで注意点というか、後から使いやすいように圧縮ファイルの解凍場所は、できるだけ「Cドライブ」の直下をオススメします。
なぜならば「iPerf」は「GUI」ではなく「CLI」なので、フォルダの深~い場所に置くと、「iPerf」を使う時に、場所の指定が長~い文字列になって、使う時にやたらと面倒臭くなるのです。
※「CLI」とはコマンドラインインターフェースの事です。文字だらけのやつですね(((・・;)
さて、ZIPファイルを「Cドライブ」直下に解凍したらダウンロード完了です。
もう一台も、同じ要領でダウンロードし、解凍しておきます。
「iperfダウンロードサイトURL」https://iperf.fr/iperf-download.php
2台目のダウンロードファイルも同じものを選びました。
以上で、ダウンロードは完了です。あとは立ち上げて測定をしま~す。
【iperf】の立ち上げ方法
ダウンロードした【iperf】は同じものですが、2台の【iperf】の立ち上げ方法はちがうので、ご説明します。
違いは、1台は「サーバー」として立ち上げ、もう1台は「クライアント」として立ち上げる必要があります。
イメージとしては、「Wi-Fi(親機)ルーター」に接続したパソコンAを「サーバー」として立ち上げる。
測定したい場所に移動し、Wi-Fiに接続したパソコンBを「クライアント」として立ち上げてパソコンBからデータを流して測定するといった感じです。
もちろん「サーバー」と「クライアント」は逆でも良いです。やり易い方で測定する事ができます。
「iperf」サーバーとしての起動
では、実際にサーバー側の「iperf」を起動させます。
まず、「パソコンA」側の「コマンドプロンプト」を立ち上げます。
下図は、Windows11のタスクバーにある虫眼鏡アイコンから検索して「コマンドプロンプト」を表示させた状態です。
Windows10でも同様にタスクバーの虫眼鏡から検索できます。
コマンドプロンプトを選択すると黒い窓が立ち上がります。
カーソルが点滅している所に入力できる状態になっているので、「cd C:\iperf」を入力します。
これは、「iperf」を解凍して保存した場所を指定しているコマンドなので、「Cドライブ」の「iperf」フォルダを指定したという意味です。
仮に「Dドライブ」でフォルダ名が「iperf3.1.1」の場合は、 「cd D:\iperf3.1.1」を入力します。
要するに、「iperf」を解凍保存したドライブとフォルダ名を入力するという事です。
「ENTER」を押して確定します。
すると、コマンドプロンプト内の一番左側の「プロンプト」が 「C:\Users\***>」から「C:\iperf>」 に変わります。
これは、コマンドプロンプト内で「Cドライブ」の「iperf」フォルダで作業をしているという意味です。
「iperf」は必ず、この「C:\iperf>」が表示されている状態で作業します。
次に、サーバーとして起動する為に「C:\iperf>iperf3.exe -s」を入力します。
「iperf3.exe」は、解凍保存したファイル名です。
「-s」はサーバーとして起動するという意味です。
下図が、入力した状態になります。
「ENTER」で確定すると、「iperf」サーバーが起動し、下図のようなデータ受信待機状態となります。
この状態のままにして、次は「パソコンB」を「クライアント」として立ち上げます。
時間がかかっても、サーバーは待機状態を維持していますので、焦らなくてゆっくり大丈夫です。
「iperf」のサーバー起動状態を終了する方法を先に記載しておきます。
①「Ctrl」+「c」を押すと、サーバー起動状態は終了します。
終了すると「Server listening on 5201」の表示が消えて「C:\iperf>」のプロンプトのみが表示されている状態になります。
②コマンドプロンプトを終了するには「exit」を入力します。
入力すると黒い窓が消えて「コマンドプロンプト」は終了します。
「iperf」クライアントとしての起動
次に、クライアント側でも、コマンドプロンプトを立ち上げ、「cd C:\iperf」を入力して「ENTER」で確定するところまでは同じです。
今度はクライアントとして立ち上げる為に「C:\iperf>iperf3.exe -c」を入力します。
「-c」はクライアントの意味です。
クライアント側は、データを送信する「パソコンA」の「IPアドレス」の指定が必要になります。
「IPアドレス」は、自動(動的)で割り当てている場合が多いと思いますので、パソコンで確認しましょう。
パソコンBからデータを送信する為の「パソコンA」の「IPアドレス」を調べます。
せっかく、コマンドプロンプトを開いていますので、コマンド入力に慣れる事も兼ねてコマンドプロンプトで調べます。
サーバーで待機状態になっている「パソコンA」の待機状態を終わらせます。
「Ctrl」+「c」を押すだけです。
押したらサーバー待機状態が解除され、プロンプト 「C:\iperf> 」が表示されます。
次に「ipconfig」と入力します。
すると、パソコンAに割り振られている「IPアドレス」が表示されますので、メモります。
下図で説明すると、Wi-Fiしか接続していないので、「 Wireless LAN adapter 」の所の「IPv4アドレス」「192.168.0.31 」が「パソコンA」に割り振られているIPアドレスになります(下から3番目です)。
「IPアドレス」を自動割り当て(動的)にしている場合は、パソコンをWi-Fi接続していて移動した際にリンクが切れた時とか、ルーターを再起動した場合、または設定されているタイマーなどで「IPアドレス」が変更される場合があります。
もし、クライアント側のパソコンからのデータ送信が上手くいかず、スループットの測定が「Time out」するような場合は、「パソコン」の「IPアドレス」を再度、確認しましょう!
これで、「パソコンA」の「IPアドレス」が分かりましたので、クライアント側には、以下を入力します。
「C:\iperf>iperf3.exe -c 192.168.0.31」
「パソコンA」のサーバーを解除してしまったので、再度「 iperf3.exe -s」を入力してサーバーを待機状態にします。
これで2つのパソコンの準備ができましたので、「パソコンB」で「ENTER」を押すと、クライアントからデータ送信が始まります。
デフォルトでは、10秒間データを送信し1秒毎の速度を表示します。最後にスループット(データ通信速度)のアベレージが表示されます。
【iperf】でWi-Fiスループットを測定
それでは、実際にJCOMのWi-Fi5ルーター「HUMAX HG100R-02JG」のスループット(データ通信速度)は、どれくらい出るのか測ってみます。
サーバー側のパソコンは、ルーター(HUMAX)とLANケーブル(CAT6)で有線接続します。
「HUMAX HG100R-02JG 」のLANポートは「1Gbps対応」です。
クライアント側のパソコンは、Wi-Fi接続します。
「iperf」で、データ通信速度を測る場合は、Wi-Fiネットワークの接続を念のため確認しましょう!
まずはスピードの出る「Wi-Fi5の5GHz帯」の通信速度を測りますので「5GHz帯」 のSSIDと接続されているかを確認します。
Windowsパソコンの場合、デフォルトは右下のタスクバーに「Wi-Fiアンテナマーク」があります。
通常はマウスカーソルをあてるだけで「接続しているWi-FiのSSID」が表示されますので、「5GHz帯」のSSID になっているかを目視確認できます。
「5GHz帯」のSSID になっていない場合は、アンテナマークを左クリックしてWi-Fi設定を表示させ、そこに受信しているWi-Fi電波の一覧を表示させ、対象となる 「5GHz帯」のSSID を選択します。
JCOM:HUMAX製の「HG100R-02JG」のSSIDの確認方法。
もし、JCOM Wi-Fiの5GHz帯と2.4GHz帯の見分け方が分からない場合は、 「HG100R-02JG」 本体のシールに「パスワード」と一緒に書いてありますので、ご確認ください。
ちなみに今回友人宅のSSIDは以下のような記載でした。
5GHz帯 :HUMAX-2***8-A
2.4GHz帯:HUMAX-2***8
末尾に-Aがあるものが「5GHz帯」、ないものが「2.4GHz帯」のSSIDです。
「パスワード」は同じものが記載されていました。
HUMAXはとても大きくシールが貼ってありますので分かりやすいです。
ちなみに、HUMAXのWi-Fiルーターじゃなくても、殆どの場合はルーター本体のシールに「SSID」と「パスワード」は記載されており、「5GHz帯」と「2.4GHz帯」のデュアルバンド対応のものは、2つの「SSID」「パスワード」が記載されています。
もし、シールがない場合はレンタル品については、レンタル元の回線事業者かISPに、自前購入のものは、メーカーに問い合わせるか、ルーターの管理画面に入れば、通常は確認できます。
ルーターの管理画面への入り方は、ご利用の製品の提供元に確認するか、ネットで検索すれば、通常は確認できると思います。
最初は、「Wi-Fi(親機)ルーター」のすぐ近くで測ってWi-Fiの一番いい状態の速度をみてみます。
「クライアント」で立ち上げた「パソコンB」の「 5GHz帯 」のWi-Fiで、先ほどコマンドプロンプトで入力した 「C:\iperf>iperf3.exe -c 192.168.0.31」 の状態から「Enter」を押します。
すると「サーバー」側のパソコンAへデータを送信を開始します。
今回の知人宅で、JCOMから貸し出されているWi-FiルーターはHUMAX製の「HG100R-02JG」です。
「Wi-Fi5」対応ですが「5GHz帯」の通信速度は、ネットの情報では「433Mbps」とあまり速くありません。
HUMAXの公式ページには速度の記載はないので、どこからの情報で「433Mbps」が出てきたのか不思議に思いつつ、実際に接続して「Wi-Fiのプロパティ」で「リンク速度(送受信)」を見ると「866/866(Mbps)」でした。
リンク速度は、仕様上の速度なので実際に出る速度ではありません。仕様上のスペックとしては、その速度に対応しているとご理解ください。
HUMAX製の「HG100R-02JG」 のWi-Fiスペックについて調べましたので、記載します。
Wi-Fi速度の測定を早くみたい方は読み飛ばしてくださいませ(^^♪
前述のリンク速度 「866/866(Mbps)」 は、HUMAXの管理画面にログインして、「ワイヤレス」>「無線」>「5GHz」のページにある「帯域幅」を最大値の「80MHz」に設定した場合です。
帯域幅を半分の「40MHz」にするとリンク速度も「400/400Mbps」と半分になります。
HUMAXの公式ページで 「HG100R-02JG」 のストリーム数(アンテナ数)は「3×3」という事は確認できました。
この事から、一般的なWi-Fi5で使われている「80MHz」という帯域幅での仕様上の速度は「433Mbps」ですが、「3×3」のストリーム(アンテナ)の内、「2×2」が「5GHz帯」に対応していると想定されます。
※「3×3」は「送信×受信」という意味です。
つまり、 「80MHz:433Mbps」×ストリーム(アンテナ)2本を束ねて帯域幅を2倍にし仕様上は「866Mbps」でリンクしているという事になります。
道路に例えると1車線を2車線に拡張して2倍の交通量を流すといった考え方です。
残りのストリーム(アンテナ)「1×1」は2.4Gbps帯が使います。
リンク速度は「40MHz幅」で 「144/144Mbps」です。
さて、お待たせしました!
「5GHz帯」で測定した「iperf」の「クライアント側」の画面は以下になります。
「Transfer」は流した「データ量」です。
「Bandwidth」の所の数字が「Wi-Fiの速度」になります。
10行同じような数字が並んでいるのは、10秒間データを流していて、1秒毎の速度が表示されている為です。
点線の下、最後の2行で「送信速度」と「受信速度」の「アベレージ」が表示されています。
「サーバー側」もほぼ同じ内容の結果が表示されます。違いは「受信速度」のみが表示されるという点です。
この計測を5回繰り返した結果が下表です。
client送信 | client受信 | server受信 | |
1 | 68.4 | 68.2 | 68.2 |
2 | 69.9 | 69.7 | 69.1 |
3 | 68.5 | 68.4 | 68.1 |
4 | 68.7 | 68.5 | 68.2 |
5 | 67.6 | 67.5 | 67.2 |
ave | 68.62 | 68.46 | 68.16 |
上表から言えるのは、「5GHz帯」のWi-Fi速度は安定はしていますが、JCOM HUMAX 「HG100R-02JG」 の純粋な家庭内でのWi-Fi通信速度は「約68Mbps」というあまり速くない速度だという事です。
前述のリンク速度「866Mbps」は仕様上の速度で、実行速度ではないという事は判っていましたが、リンク速度の「1割」も出なかったので「クソおそっ!」っと思わず叫んでしまいました!
(あまりの遅さに、ちょっとお下品になってしまいました)
これまでの経験から、「iperf」でWi-Fiを計測する場合は、仕様上の速度の4割くらいの速度は出ると思っていたので、遅いです!
ちょっと腑に落ちないので、クライアント側のパソコンBのWi-Fi接続を一旦やめて「LANケーブル(CAT6)」で「有線接続」で試してみたのが下表です。
client送信 | client受信 | server受信 | |
1 | 590 | 589 | 587 |
2 | 711 | 710 | 707 |
3 | 555 | 555 | 553 |
4 | 578 | 577 | 575 |
5 | 535 | 535 | 533 |
ave | 593.8 | 593.2 | 591 |
LANケーブル(CAT6)の有線接続にすると「600Mbps弱」という結果になりました。
HUMAX 「HG100R-02JG」のLANポートは「1Gbps対応」なので、規格の「約6割」出ています。
「有線接続」なので、もう少し出ても良いかなぁという気もしますが、取り敢えず「iperf」と「HUMAX」は正常に稼働していると判断をしました。
という事は、「Wi-Fi」の速度はすごく遅いので、HUMAXの「Wi-Fi性能はいまいち」という事になります。
それにしても遅いので、何か原因がある可能性があります。ちょっと気になったのは「Wi-FiのSSID」を確認した時に、かなりの数の「SSID」を受信していました。
ご近所さんの5GHz帯のWi-Fi電波が入り乱れていて、混信している可能性も考えられます。
チャンネルを変えるという手もありますが、チャンネルはその都度変わりますので、その時は良いかもしれませんが、近隣の方のチャンネルが変われば、また速度低下が起こります( ;∀;)
そこで、「帯域幅」を少し絞る事にしました。帯域は広い方が多くのデータを一度に流す事ができるので速度アップの手段として有効です。
ですが、「チャンネルボンディング」という技術で帯域を広くしますので、お隣さんの「5GHz帯」電波と被る可能性が高くなりますし、ルーターのスペックが低いとうまく動作しない場合があります。
そこで、HUMAX「HG100R-02JG」の管理画面に入り、「ワイヤレス設定」>「無線」のページで 「80MHz幅」を「40MHz幅」に変更してみました。
変更後の速度は以下となりました。
No. | client送信 | client受信 | saver受信 |
1 | 126 | 126 | 125 |
2 | 138 | 137 | 137 |
3 | 135 | 135 | 134 |
4 | 137 | 134 | 135 |
5 | 133 | 132 | 131 |
ave | 133.8 | 132.8 | 132.1 |
変更後の結果は「約68Mbps」が、「約130Mbps」となり「約2倍」の速度となりました。
速度は改善してリンク速度の1割5分は出るようになりました。
リンク速度からみるとイマイチですが、約100Mbps出ていればオンライン会議なども途切れる事なく利用する事ができるので、おうちWi-FiネットワークとしてはOKです。
ただし、おうちのネットワークはOKでも、インターネットが遅ければ意味がありません。
同じ条件で、インターネットのスピード測定サイトで計測したのが以下です。
左側は先ほどと同じ「iperf」の測定結果。右側がインターネットの測定結果です。
No. | client送信 | client受信 | No. | USEN_UL | USEN_DL |
1 | 126 | 126 | 1 | 10.1 | 60.6 |
2 | 138 | 137 | 2 | 10.4 | 60.6 |
3 | 135 | 135 | 3 | 10.3 | 58.4 |
4 | 137 | 134 | 4 | 10.3 | 71.4 |
5 | 133 | 132 | 5 | 10.2 | 67.8 |
ave | 133.8 | 132.8 | ave | 10.26 | 63.76 |
おうちのWi-Fi速度より、インターネットの速度の方が遅くなっていますが、これは正常です。
インターネット上の測定サイトにたどり着くまでに通過するルーターの数は、家庭内ネットワークより多いです。
ルーターを通過する度にルーティング処理が入りますし、インターネットの込み具合もありますし、サーバーのレスポンス等も影響するからです。
1点だけ、USEN(インターネット)の上り速度だけは、「10Mbps」と遅いです。
これは、JCOMのインターネット回線の仕様によるもので、多くのCATV回線は上りと下りの速度は非対称となっているからです。
下り速度は重視されていますが、上りはデータ量が多くない為に低速の場合が多いです(一般的な光回線は上り下りとも同じスピードの場合が多いです)。
あと今回は、インターネットのスピード測定サイトは「USEN」で実施しました。
普段よく使うNETFLIXの測定サイト「Fast.com」で測定すると「下り200Mbps前後」の結果がでましたが、「iperf」の測定結果と整合性がとれません。
「Fast.com」の測定が間違っている訳ではなく、測定ロジックの違いです。
純粋なおうち内だけのWi-Fi速度よりインターネットを経由した速度の方が速いと、どこが遅いのか判らなくなるので、測定ロジックが似ているUSENでの測定としました。
「iperf」家庭内Wi-Fi(5GHz帯)速度:約130Mbps
「USEN」インターネット回線速度:約60Mbps
zoom等のオンライン会議をする場合は、インターネット回線を使いますので、インターネット回線が遅いと支障がでますが、約60Mbps出ていれば特に問題なく使える速度です。
30Mbps以上が、動画・音声系のアプリケーションを使う目安です。
20Mbps前後になると、途切れたりが起こる可能性があります。
あと、付け加えておくと、TP-LINKというメーカーの「Archer AX90」という「Wi-Fiルーター」があります。
この製品の近くで「iperf」で測定すると、「5GHz帯」のWi-Fi速度は「1Gbps」を超える速度がでます。 「Archer AX90」 は「Wi-Fi6」トライバンド対応のハイエンド機種です。
「5GHz帯」の仕様上の最高速度は「2.4Gbps」です。そして、有線LANポートも「2.5Gbps」に接続して測った結果です。
ちなみに2階で測っても「700Mbps」くらい出ていたと記憶しています。
やはりスペックの高い製品は全然違います?
「iperf」で測定すると遅い速度になる訳ではない事が判って頂けると思います。
またもや話しがそれました。次は「2.4GHz帯」の速度を測ります。
「2.4GHz帯」 は「Wi-Fi4」対応となり、通信速度はネットの情報では「150Mbps」ですが、実際に接続して「Wi-Fiのプロパティ」で「リンク速度(送受信)」を見ると「144/144 (Mbps)」でした。
実際にはどれくらい出るでしょうか?
測定結果は以下です。今度はUSENの測定結果も一緒に記載します。
No. | client送信 | client受信 | No. | USEN_UL | USEN_DL |
1 | 38.1 | 38.1 | 1 | 10.1 | 36.5 |
2 | 35 | 34.8 | 2 | 10.3 | 28.6 |
3 | 33.2 | 33.1 | 3 | 10.1 | 34.6 |
4 | 35.5 | 35.4 | 4 | 10.2 | 18 |
5 | 40 | 39.9 | 5 | 10.2 | 38.6 |
ave | 36.36 | 36.26 | ave | 10.18 | 31.26 |
「2.4GHz帯」はリンク速度に対して、なんとか2.5割程度は出ています。
こちらも「5GHz帯」と同様に帯域幅を「40MHz幅」から「20MHz幅」に絞って速度が変わるか見てみたのが、下表です。
40MHz | client送信 | client受信 | 20MHz | client送信 | client受信 |
1 | 38.1 | 38.1 | 1 | 58.7 | 58.6 |
2 | 35 | 34.8 | 2 | 58 | 57.8 |
3 | 33.2 | 33.1 | 3 | 61 | 60.8 |
4 | 35.5 | 35.4 | 4 | 60.7 | 60.6 |
5 | 40 | 39.9 | 5 | 62.5 | 62.4 |
ave | 36.36 | 36.26 | ave | 60.18 | 60.04 |
「2.4GHz帯」も帯域を絞った方が「約2倍」の速度となり、リンク速度の約4割になる結果となりました。
この測定結果なら、一般的なスペックを満たしていると思います。
特に 「2.4GHz帯」 は非常に混雑しているので、帯域を絞った方が「電波干渉」しにくくなる事が要因です。
これで、一番良い状態のWi-FiルーターのWi-Fiデータ通信速度を測る事ができました?
再掲になりますが、「5GHz帯(家庭内)とUSEN(インターネット)」、「2.4GHz帯(家庭内)とUSEN(インターネット)」、「有線LAN接続(家庭内)とUSEN(インターネット)」の速度を比べたのが下表です。
No. | client送信 USEN_UL | client受信 USEN_DL | |
「iperf」 wifi5/5ghz/40MHz | 5回の ave | 133.8 | 132.8 |
USEN インターネット速度 | 5回の ave | 10.24 | 61.5 |
No. | client送信 USEN_UL | client受信 USEN_DL | |
「iperf」 wifi4/2.4ghz/20MHz | 5回の ave | 60.18 | 60.04 |
USEN インターネット速度 | 5回の ave | 7.58 | 43.92 |
No. | client送信 USEN_UL | client受信 USEN_DL | |
「iperf」 有線LAN接続 | 5回の ave | 593.8 | 593.2 |
USEN インターネット速度 | 5回の ave | 10.36 | 70.98 |
もし、おうちのネットワークが遅くて速度を測っている場合は、上表のような速度比較をしておくと、後でネットワーク改善する箇所の切り分けがしやすくなります。
上表に限りませんが、「有線LAN接続」が一番安定してネットワークを使えます。
特に家庭内だけで、大容量の動画ファイルをNASに保存するような時は、「有線LAN接続」であれば、かなり高速にファイル転送できるのでオススメです?️
でも、Wi-Fiがやっぱり便利なので、Wi-Fiを使う場合は「2.4GHz帯」よりも速い「5GHz帯」を選びましょう。
インターネットを使う場合は、「有線接LAN続」と 「5GHz帯」 は下り約10Mbpsの速度差です?
ただし、これはWi-Fiルーター(今回はHUMAXの事)から近い場所で使う場合です。
壁などの障害物が多い場合や、遠い部屋で使う場合は、状況が変わってきます。
ということで、次は、実際にパソコンBを使う場所に移動して再度計測します。
「HUMAX」は木造戸建ての一階にあり、「パソコンB」は二階の真上の部屋で使っています。
障害物は、床1枚で、直線距離は5m前後です。
下表が「5GHz帯」と「2.4GHz帯」の測定結果です。
【5GHz帯】 | No. | 2階 client送信 USEN_UL | 2階 client受信 USEN_DL | No. | 1階 client送信 USEN_UL | 1階 client受信 USEN_DL |
「iperf」 wifi5/5ghz/40MHz | 5回の ave | 60.84 | 60.68 | 5回の ave | 133.8 | 132.8 |
USEN インターネット速度 | 5回の ave | 10.24 | 59.82 | 5回の ave | 10.24 | 61.5 |
【2.4GHz帯】 | No. | 2階 client送信 USEN_UL | 2階 client受信 USEN_DL | No. | 1階 client送信 USEN_UL | 1階 client受信 USEN_DL |
「iperf」 wifi4/2.4ghz/20MHz | 5回の ave | 26.28 | 26.14 | 5回の ave | 60.18 | 60.04 |
USEN インターネット速度 | 5回の ave | 4.82 | 15.92 | 5回の ave | 7.58 | 43.92 |
上表の測定結果から言えることは、2階での「5GHz帯」 の「iperf(家庭内)」速度は1階の約半分に落ちていますが、「USEN(インターネット)」の速度は上り下りとも殆ど変わりません。
「2.4GHz帯」 の「iperf(家庭内)」速度も1階の約半分に落ちていますが、「USEN(インターネット)」の速度も上り下りとも約半分に落ちています。
通常、Wi-Fi(親機)ルーターから距離が離れたり床や壁などの障害物があると、「5GHz帯」の方が減衰影響が大きいのですが、今回の知人宅では何故か「2.4GHz帯」の方が速度への影響が大きくでました。
一番考えられるのは「2.4GHz帯」 は使っている機器が多く、且つチャンネルとチャンネルの帯域が重なっていて電波干渉しやすいので、その影響が強く出たと思います。
これは、皆さんのおうちの環境で変わりますので参考でご覧下さい。
ここで、疑問があります。
知人がインターネットかWi-Fiが遅くて支障があるから測定に来たのですが、「5GHz帯」で使えば、オンライン会議でも問題ない速度が出ています。
原因は、パソコンがWi-Fiの「2.4GHz帯」を自動で掴んでいるからでした。
実際にパソコンを再起動すると、自動で「2.4GHz帯」を掴みます。
そこで試しに、二人のパソコンを「2.4GHz帯」に繋いで、zoomをした所、見事に止まったり声が途切れたりの状態が起こりました?
上り4Mbps程度しかないので、致し方ない結果です。
ただ、2台とも速度の遅い「2.4GHz帯」に繋いだので、普段の状態よりも悪かったと思います。
最後に、2台とも手動で「5GHz帯」に繋ぎ変えてzoomをしたら支障なく使う事が出来ました?
皆さんも、Wi-Fiは自動接続になっていると思いますので、ご注意下さいませ。
まとめ
Wi-Fiは、「電波が弱い」=「スピードが出ない」という事になります。
Wi-Fiが遅いのか?インターネットが遅いのか?
「5GHz帯」と「2.4GHz帯」で「インターネット回線速度」も併せて測り比べてみて、実際に使う場所では「5GHz帯」を使った方が良いのか?「2.4GHz帯」を使った方が速いのか?を確認しましょう。
普通は、壁などの障害物が多いとか、距離が遠くなると「2.4GHz帯」の方が電波の届きがよく、「5GHz帯」と速度が逆転する場合があります。
今回の知人宅は、Wi-Fiルーター(HUMAX)の性能が低いせいか、環境のせいか判りませんが、「5GHz帯」を使った方が良いという結果になりました。
パソコンを使う場所が、Wi-Fiルーター(HUMAX)の真上の部屋で、「5GHz帯」のWi-Fi電波の減衰が少ない事もあると思います。
Wi-Fiは速度が速いほうの帯域をメインで使うことになると思いますが、家族複数人で一度に多くのデータを流す場合は、「iperf」でWi-Fi速度「100Mbps」以上あると動画やオンライン会議(授業)をしても余裕があり安心です。
YouTubeやzoom、Teamsなどの動画・音声を含むアプリケーションを使う場合は、下限としては「30Mbps」を目安にしたい所です。
もし、5年以上前のWi-Fiルーターを使っている場合や「30Mbps」を下回る速度しか出ない場合は、
①今お使いのWi-Fiルーターより、高性能なWi-Fiルーターに切り替えることで、電波の飛びが良くなり、Wi-Fiの届く範囲を改善できる=速度が速くなる可能性が高いです。
②Wi-Fiルーターを変えても距離が遠い、障害物が多い、鉄筋コンクリートのお宅で電波の通りが悪い等の理由で、Wi-Fi環境が改善しない場合は、無線LAN中継器をプラスすることでWi-Fi電波の到達範囲を延ばす事ができます?
日本の一般的な4LDKのマンション(80~100平米)、3階建ての木造戸建て(100~120平米)くらいまでであれば「高性能Wi-Fiルーター1台」と「中継器1台」のセットで、ほぼ家中にWi-Fiを届かす事ができます。
速度までこだわる場合は「中継器2台」とか「メッシュWi-Fi」なども検討すると、良いかもしれません。
※Wi-Fi電波の届く範囲は、皆さんのおうちの環境により変わります。間取りは参考としてご覧下さい。
おまけ:ネットワーク速度が遅い場合の対処法
今回の記事をみて「iperf」でおうちのネットワークを計測する方の為に、パターン別の対処法をご案内致します?
「iperf」でルーター近くで測ってWi-Fiが遅い場合
「パソコンA」も「パソコンB」もWi-Fiルーターのすぐ近くで測った結果が遅いのであれば、「Wi-Fiルーター」を高性能なものに買い替えないと、Wi-Fi環境の改善は期待出来ません?
正直、今回の知人宅のルーター(HUMAX)のWi-Fi性能はあまり良いものではありませんでした。
メーカー記載のWi-Fi速度は仕様上の値なので出ません。それは判ったうえで、せめて4割前後は出て欲しいです。
今回の具体的な数値で言うと、「iperf」で測る純粋な家庭内Wi-Fi速度であれば、「5GHz帯」のリンク速度「866Mbps」の4割「300Mbps」を期待していました。
これより速ければ、ハイスペック製品とお伝えしますし、「300Mbps」でもミドルクラスで、オススメ製品です。
「iperf」でルーター近くで測ってWi-Fiは速い場合
もし、Wi-Fiスピードがそこそこ出ているのであれば、Wi-Fiルーターが悪いのではなくて、ネット回線が遅い原因と考えられます。
もしくは、パソコン自体のWi-Fiスペックも問題ないか確認した方が良いかもしれません。
インターネット上にある「スピード測定サイト」は、「インターネット回線」の影響を受けます。インターネット回線が低速であれば、いくらWi-Fiが速くても、遅い結果となってしまいます。
その逆に、インターネット回線は速いのにWi-Fiが遅くて、「遅い」結果になる場合も、勿論ありますので、遅い原因を間違わないように注意が必要です!
「iperf」であれば、家庭内ネットワークの速度だけを測定できますので、インターネット回線速度との切り分けが可能です?
ネット回線が遅いのであれば、ネット契約を見直すのが一番早いですが、ルーターを高スペックのものにするだけで速くなる場合もあります。
注意点は、インターネット回線は、2年とか3年縛りがある契約になっている場合があります。これは更新月に解約をしないと違約金が発生したりしますので、必ず契約を確認しましょう!
あと、日本のインターネット事業者は、自社提供のルーター機器でしかインターネット接続ができない仕様になっている場合が多いです。
今回のJCOMを例にとると、「HUMAX」を外して、自分で購入した「高性能ルーター」をつけても、インターネット接続はできません?
「HUMAX」の「LANポート」に自分で購入した「高性能ルーター」を接続する事はできますが、色々と制約がありますので、これも買って失敗した~とならないように注意が必要です。
この件については、以下の記事でご説明しています。
回線がNURO光で説明していますが、注意点は同じなので、参考になると思います。
注意点 【iperf】を使う際に気をつけたい事
「iperf」を使う時に気をつけたい事は、「iperf」をインストールした端末のスペックです。
Wi-Fiのデータ通信速度を測る場合は、パソコンの「Wi-Fi規格」を確認しておく事をオススメします。
私のように古いパソコンをお持ちの場合、Wi-Fiの規格が二世代前の「Wi-Fi4」の場合があります。
古くなくても、価格重視のパソコンの場合、目に見えない所でスペックが削られている場合があります。
パソコンのWi-Fi規格が低ければ「Wi-Fiは下位互換」しますので、パソコンのWi-Fi規格「Wi-Fi4」の速度を測っていることになります。
「Wi-Fiルーター」の「Wi-Fi5」の性能(速度)を測る事が目的なのに、この場合は「Wi-Fiルーター」本来のスペックは測れていません。
同じく、「Wi-Fi6」対応のルーターの場合は、パソコンのWi-Fiも「Wi-Fi6」でなければ、ルーター本来の持つスペックを測る事ができません。
Wi-Fiは端末側(パソコンやスマホ等)の規格に依存しますので、注意しましょう?
また、パソコンのWi-Fiが「Wi-Fi5」に対応している場合でも、「Wi-Fi5」は「5Ghz帯」のみが対応しています。
「Wi-Fi5」対応の「5Ghz帯」は高速通信が可能ですが、「2.4GHz帯」はひとつ前の規格「Wi-Fi4」での通信になり速度が落ちます。
このように、Wi-Fiは繋ぐ「帯域」でも、速度は大きく変わりますので、測定の際は「Wi-Fiの接続」を必ず確認して測りましょう?
あと、通信データの送受信は通常、メモリにデータをバッファリングします。
この場合もパソコンのスペックが低いと、Wi-Fiルーターは問題なくても、測定結果が遅くでる場合があります。
原因を見間違うとパソコンを買い替えるべき所を、Wi-Fiルーターを買い替えてしまい、速度が改善しないという事が起きるといったケースがあります。
願わくば、Windows 10であれば、メモリ8G以上、Windows11であれば、メモリ16G以上は欲しい所です。
メモリが小さい場合はできるだけ、他のソフトは立ち上げないで「iperf」だけ動かして測りましょう!
う~ん、思ったよりかなり長くなってしまいました!
最後までお付き合い頂きました皆さまありがとうございます。お疲れ様でした?
皆さんのおうちネットワーク環境改善に役立つと嬉しいです(^^♪
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↓スマホもWi-Fi6化で快適に!
この記事は以上です!
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