iPhoneはeSIMに対応している機種が多くあります。
eSIMに対応しているiPhoneはデュアルSIM端末と呼ばれ、1台のiPhoneに2つの通信回線を契約して運用する事ができます。
この記事では、iPhoneのデュアルSIMの活用法を具体例と共に、メリット・デメリット含めてご説明します。
※androidでも、デュアルSIMに対応している端末は参考にして頂けます。
iPhoneのeSIM活用ならデュアルSIM
iPhoneは、従来の物理的なSIMカードとスマホ本体に埋め込まれているeSIMの2つのSIMを併せて使う事ができるデュアルSIM端末です。
このデュアルSIMを使うと、一台のiPhoneで電話番号を2つ持つ事ができます。
あるいは2つのSIMを、音声とデータに分けて最安サービスを使う事もできます。
この2つの使い方をそれぞれ具体的に説明していきますが、最初にデュアルSIMの予備知識をお伝えします。
基本的な知識があった方が、内容の理解が深まるからです。
iPhoneのデュアルSIM予備知識
iPhoneの物理的なSIMカードはnanoSIMという種類のSIMです。
SIMカードには電話番号など利用者を特定する為の情報が記録されています。
多くの場合、このnanoSIMカードを使って1つ目の契約をしていると思います。
つまり1つ目の電話番号は、このnanoSIMに書き込まれて通信(電話)をしています。
その為、今回のデュアルSIM運用は、まだ使っていない(空いている)eSIMを使って、契約(電話番号)を追加します。
スマホの契約というと、今まではケータイショップに行くのが普通でしたが、eSIMであればオンラインショップ(インターネット)で手続きができます。
自宅にいながら、契約から開通まで完結できますので、ショップへの移動時間、予約する手間、待ち時間など省くことができます。
eSIMのもっと基本的な内容は、以下の記事を参照ください。
iPhoneのデュアルSIM活用例
<前提条件>
この記事は、初心者の方をイメージして書いているので、以下の利用状況を想定しています。
- 現在の通信契約:大手通信キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク)
- 契約している回線数:1回線
- 使用しているSIM:物理的なSIMカード(eSIMではない方)
それでは、iPhoneのデュアルSIM機能の活用例をご紹介します。
活用例その1:電話番号を2つ使う
まず、iPhoneで電話番号を2つ持つ使い方からです。
以下のように、現在nanoSIMで使っている①の電話番号Aに、eSIMを利用して②の電話番号Bを追加します。
①現在:
nanoSIM 大手通信キャリア 電話番号A
↓↓↓
②追加:
eSIM 格安SIM 電話番号B
イメージしやすいように具体例で説明します。
大手通信キャリアの料金プランは、一般的なデータ容量3GB~20GB未満のご利用で、月額は4,407円(大手キャリアの平均値)を使っている場合とします。※音声通話料は別途かかる。
①現在
SIM:nanoSIMで利用中
通信キャリア:大手通信キャリア
データ容量:3~20GB未満
基本料金:4,470円(大手平均値)
電話番号:A
②追加
SIM:eSIMを利用する
通信契約:格安SIM
データ容量:1GB未満
基本料金:1,140円(格安平均値)
電話番号:B(新しい電話番号)
eSIMに追加する2つ目の通信回線は、料金面でお得な格安SIMを選んだ場合です。
スマホの料金プランは、データ容量をどれだけ使うかで金額が変化しますので、電話番号Bは音声メインとしてデータ容量が一番少ない1GB未満を選んだ場合です。
容量別|大手キャリアと格安SIMの平均携帯料金(税込)の比較と差額
データ容量
|
大手キャリア
|
格安SIM
|
差額
|
1GB未満 | 約2,189円 | 約1,140円 ②追加 |
約-1049円 ※お得額 |
1~3GB未満 | 約2,620円 | 約1,152円 | 約-1468円 |
3~20GB未満 | 約4,407円 ①現在 |
約1,505円 | 約-2902円 |
20GB以上 | 約7,227円 | 約4,503円 | 約-2724円 |
eSIMで追加する電話番号を、格安SIMで契約すると大手キャリアよりお得に使う事ができます。
上表は平均値なので、料金プランが安い格安SIMを探すと、更に安く使う事が可能です。
格安SIMとは?
前述の具体例では、eSIMに追加する契約は、料金がお得な格安SIMを使う内容にしています。
格安SIMの事を知らない方にとっては不安があると思いますので、この項では格安SIMについて説明します。
まず最初に、格安SIMと比較している大手通信キャリアですが、3社(6ブランド)です。
※前述の楽天モバイルは自社で通信設備を持つキャリアではありますが、残念ながら、まだ大手キャリアには含まれていません。
対象の大手キャリア3社(6ブランド)は、以下のプルダウンメニューからご覧いただけます。
1.ドコモ
2.au
3.ソフトバンク
4.ahamo(ドコモ)
5.povo(au)
6.LINEMO(ソフトバンク)
※月額料金プランの目安は、この6ブランドの平均から算出しています。
※月額料金プランの平均値は、特典や割引適用なしの場合です。
大手通信キャリアに対して、料金を安くして通信サービスを提供しているのが格安SIMです。
多くの会社がありますが、主要な所では約20社をおさえておけば十分です。
対象の格安SIM22社は、以下のプルダウンメニューからご覧いただけます。
1.楽天モバイル
2.ワイモバイル(ソフトバンク)
3.UQモバイル(au)
4.IIJmio
5.リンクスメイト
6.mineo
7.OCN モバイル ONE
8.y.u mobile
9.BIGLOBEモバイル
10.b-mobile
11.エキサイトモバイル
12.DTI SIM
13.ロケットモバイル
14.リペアSIM
15.LIBMO
16.HISモバイル
17.イオンモバイル
18.QTモバイル
19.nuroモバイル
20.NifMo
21.トーンモバイル
22.J:COMモバイル
※月額料金プランの目安は、この22社の平均から算出しています。
※月額料金プランの平均値は、特典や割引適用なしの場合です。
格安SIMはなぜ料金を安く提供できるのか?
格安SIMは、大手通信3キャリアから回線を借りてサービスを提供しています。
自社で通信設備(ケータイの基地局や伝送路)を持たないので、ネットワーク運用コストがかからない分、料金を安くする事ができる仕組みです。
格安SIMの通信品質は?
大手キャリアの通信回線を借りてサービスを提供しているので、エリアの広さは大手通信キャリアと全く同じです。
格安SIMにしたら、使えないエリアが増えたというような事は起こりません。
その代わり、格安SIMがどこの大手キャリアの通信回線を借りているかは、把握しておく必要があります。
格安SIMは、大手通信3キャリア全てと契約している所は少なく、1社もしくは2社対応という場合が多いからです。
仮に現在ドコモを利用していて、2つ目の電話番号を契約した格安SIMの会社がソフトバンクの通信回線を借りていたとします。
大手通信キャリアでも、エリアによっては電波の入り具合は違います。
もし、格安SIMで追加した電話番号のエリアが悪いと感じる時は大手通信キャリアの電波状態が悪いという事をしっておきましょう。
もし現在ドコモをご利用で電波の状態がよい場合に、他のキャリア回線を使っている格安SIMを選ぶのは心配という方もいると思います。
最近は、総務省主導で通信契約の縛り(契約期間を定めて解除料金をとる事)をなくすように通信事業者に求めています。
これは、契約期間の縛りをなくし、ユーザーが好きな通信サービスをいつでも自由に選べるようにする事が目的です。
今回、電話番号の追加に格安SIMをおススメしていますが、もしエリアに問題がある場合でも、契約期間や解除料のない格安SIMを選ぶ事で、即日のりかえ可能ですので、あまり心配する必要はないでしょう。
また、最近は温暖化のせいか天災が多いと感じます。
4キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイル)は別々の通信設備を持っていますので、災害や万が一の通信障害を考えると、違うキャリアの回線を使っているとリスク分散が可能となります。
どうしてもエリアが気になる方は、現在ご利用のキャリアと同じ回線を使っている格安SIMを選ぶと安心です。
活用例その2:音声とデータを分けて使う
2つ目のeSIM対応iPhoneの活用例は、nanoSIMとeSIMそれぞれに音声メインとデータ通信メインの契約を行い2つのSIMを使い分ける使い方です。
電話番号2つの時と同じように、現在nanoSIMで使っている①の大手通信キャリアの契約はそのままに音声メインとします。②でeSIMを利用してデータ通信メインの契約を追加します。
①現在:
nanoSIM 大手通信キャリア 音声メイン
↓↓↓
②追加:
eSIM 格安SIM データ通信メイン
この使い方は、①は音声メインにするので、データ容量を少ないプランにして料金を下げます。②はデータメインなので、格安SIMのコストメリットを活かし、データ容量は減らさずに通信コストの削減を行います。
こちらも、イメージしやすいように具体例で説明します。
大手通信キャリアの料金プランは、一般的なデータ容量3GB~20GB未満のご利用で、月額は4,407円(大手キャリアの平均値)を使っている場合とします。※音声通話料は別途かかる。
①現在→変更
SIM:nanoSIMで利用中
通信キャリア:大手通信キャリア
データ容量:3~20GB未満→1GB未満
基本料金:4,470円→2,189円(大手平均値)
電話番号:A
②追加
SIM:eSIMを利用する
通信契約:格安SIM
データ容量:3~20GB未満
基本料金:1,505円(格安平均値)
電話番号:Bあるいは無し
①は音声メインで使うので、データ容量を1GB未満の一番小さいプランに変更。
②はデータ通信メインとしてデータ容量は現在と同じ3~20GB未満を選択。
②のeSIMに追加する2つ目の通信回線は、料金面でお得な格安SIMを選んでいます。
容量別|大手キャリアと格安SIMの平均携帯料金(税込)の比較と差額
データ容量
|
大手キャリア
|
格安SIM
|
差額
|
1GB未満 | 約2,189円 ①変更後 |
約1,140円 |
約-1049円 |
1~3GB未満 | 約2,620円 | 約1,152円 | 約-1468円 |
3~20GB未満 | 約4,407円 ①現在 |
約1,505円 ②追加 |
約-2902円 |
20GB以上 | 約7,227円 | 約4,503円 | 約-2724円 |
契約SIM
|
現在A
|
変更後B
|
差額AーB
|
①nanoSIM | 約4,407円 ①現在 |
約2,189円 ①変更後 |
約-2,218円 |
②eSIM | ー | 約1,505円 ②追加 |
約+1,505円 |
①+②合計 | 約4,407円 ①現在 |
約3,694円 ①変更後 ②追加 |
約-713円 |
大手通信キャリアの料金プランは高いので、一番安いプランに下げている所がミソです。
eSIMのデュアル運用であれば、大手キャリアの安心を残しつつ、格安SIMで料金をお得にする事ができます。
eSIMのメリット
eSIMのデメリット
まとめ
iPhone XS/XS Max/XRから使えるようになったeSIMの活用術について、ご紹介しました。
eSIMについては単体で使うよりも、従来の物理SIMカードと併用して使うデュアルSIMが、便利でお得に使えますのでおススメです。
ただし、デメリットの所にも書きましたが、eSIM自体が日本ではまだ新しい運用(2021年夏前後に各キャリアが対応開始)なので、不具合が発生する可能性はあります。
また、eSIMのメリットとして、オンラインでショップに行かずに契約を完結できる点はとても便利で素晴らしいです。
ですが、これも逆の観点でみれば、契約から設定まで全て自分で行う必要がありますので、不具合がでる可能性もあります。
その為、この記事でご紹介したデュアルSIM運用は、1回線目の契約に元々使っている物理SIMカードでの大手通信キャリアを残したままにしています。
2回線目の契約にeSIMで格安SIMを使うようにしていますが、もしうまく設定できなくても、1回線目の大手キャリアが使えれば困る事はありません。
不具合が起こる事も想定して、デュアルSIM運用の2回線目の格安SIMは最初はお試し感覚で始めると安心です。
実際に使ってみて問題ない事を確認できてから、大手キャリアの料金プランを下げたり、格安SIMの料金プランを上げたり本格運用に移行すると良いでしょう。
うまくいかない場合を想定して、格安SIMは契約期間や解約金のない会社を選べば、すぐやめる事ができますので安心です。
↓以下の記事で、もっと具体的なコスト削減事例(家族4人のケース)についてご紹介していますので、是非ご一読ください!
この記事は以上です。